どうも、爬虫類ブロガー“SHU”です。
この記事では、主に爬虫類や両生類などの餌用として流通しているコオロギの管理方法について紹介したいと思います!ぜひ参考にしてみてください!
はじめに:餌用コオロギについて
主に餌用として流通しているコオロギは、ヨーロッパイエコオロギ(イエコ)とフタホシコオロギ(クロコ)の2種です。
ヨーロッパイエコオロギ
西ヨーロッパのパン工場や家の中など1年中暖かな場所に住み着いていたため「ヨーロッパイエコオロギ」や「ハウスクリケット」と呼ばれていますが、ドイツの文献によると原産地は北アフリカ地域と記載されています。
ヨーロッパイエコオロギは気温が高く乾燥した気候に適応しているため、比較的水切れに強く丈夫で飼育しやすい種類です。ヨーロッパでは昔から爬虫類・両生類の生餌昆虫として飼育されてきましたが、日本に入ってきたのは数十年前のことです。現在は日本各地で飼育されていますが高い気温(30℃)と乾燥した環境(湿度40%~50%)を好むヨーロッパイエコオロギにとって、雨が多く多湿で冬が寒い日本の自然環境は非常に厳しく野外で繁殖することは大変厳しいようです。
成虫はオス20mmメス25mmに成長しますが、過密飼育・餌不足・低温で飼育すると小型化します。成熟したメスは、毎日100~200くらいの卵を土の中に産みつけます。卵は30℃で保管すると約12日で孵化しますが、温度が低いと孵化は大幅に遅れ20℃以下では孵化率も低下します。孵化した幼虫は、数回の脱皮を繰り返し約32日後に成虫になります。
- 栄養価:★★★★☆
- 嗜好性:★★★★☆
- 食べ易さ:★★★★☆
- 入手し易さ:★★★★★
- 管理し易さ:★★★★☆
栄養価・入手のし易さ・扱い易さなど、あらゆる面でバランスがいい爬虫類・両生類の定番食です。これといった難点はなく、爬虫類・両生類も好んで食べてくれます。雑食性で稀に生体に噛みつくこともあるので、動きの遅い生体にはきちんとピンセットから与えた方が良いです。
フタホシコオロギ
フタホシコオロギの生息地は、東南アジアの熱帯地域です。日本では沖縄・南西諸島に棲息しています。
高温多湿の熱帯地域に棲むフタホシコオロギの飼育は、乾燥・水切れに弱いためヨーロッパイエコオロギよりも管理が難しいです。しかし、ボリュームのあるサイズとジャンプ力が弱く逃げ足が遅いという生餌昆虫に適した特徴を持つため、様々な飼育動物の餌用として普及しています。
成虫はオス25mmメス30mmに成長しますが、過密飼育や野菜中心の餌で飼育すると小型化します。卵は約10日で孵化し、孵化直後の幼虫は3mmくらいで全身真っ黒です。餌と水を切らさないように注意して、気温25~30℃の環境で飼育すると約30日後には成虫になります。
- 栄養価:★★★★★
- 嗜好性:★★★☆☆
- 食べ易さ:★★★★☆
- 入手し易さ:★★★★☆
- 管理し易さ:★★☆☆☆
ヨーロッパイエコオロギより更に栄養価が高い万能生餌です。ただしヨーロッパイエコオロギと比較して、過密・蒸れに弱く管理に手間がかかり鳴き声もうるさいです。また肉食傾向が強く生体に噛みつく可能性が高いので、バラマキ給餌は避けましょう。フタホシコオロギは臭いが強く、なかには嫌がって食べてくれない個体もいます。
餌用コオロギの管理(飼育・繁殖)方法
コオロギの管理に必要なアイテムをまとめると以下の通りです。
- 飼育容器
- 冬用保温器具
- シェルター
- 水入れ(自動給水器)
- エサ
- 産卵床
飼育容器
飼育容器は数百匹以下の少量の場合、サイズが豊富で値段も安いプラケースがおすすめです。飼育容器は小さすぎると過密飼育になり共食いをして短期間に数が激減してしまうので、飼育するコオロギのサイズと数に見合ったできるだけ大きなものを使用しましょう。
コオロギは、基本的に風通しのよい乾いた環境を好みます。通気性が悪いと結露を起こし、その水滴が糞を濡らしてアンモニアが発生してコオロギが全滅することもあります。飼育容器は必ず通気性の良いものを使用しましょう。ヨーロッパイエコオロギのジャンプ力は最大でも30㎝程度なので、深さが50㎝以上ある飼育容器であれば蓋は必要ありません。
冬用保温器具
コオロギの飼育温度は25~30℃が適温です。これより低いと成長は遅れ15℃以下では次第に衰弱して死に至るので、冬は飼育容器の下にパネルヒーターを敷き暖めます。パネルヒーターのサイズも数種類販売されていますので、飼育容器の大きさに合ったものを選びましょう。また湿度60%以上の環境で、糞を溜めたまま長期間放置しておくとダニが発生します。頻繁に掃除して清潔な環境で飼育してください。
シェルター
シェルターは、コオロギの居住空間を増やすためのものです。コオロギが歩きやすい紙製のものであれば、卵パック・ダンボール・厚紙など何でも構いません。新聞紙や雑誌のような薄い紙はコオロギが嚙み千切って食べてしまい、そのコオロギを飼育動物に与えると印刷用インクなどの化学物質を間接的に食べさせることになります。なので、新聞紙・雑誌などの印刷物の使用はできるだけ避けましょう。シェルターは脱皮の際の共食いを防ぐためにも大変重要な役割を果たすので、できるだけたくさん入れるようにしてください。
水入れ(自動給水器)
コオロギにとって水は非常に重要で、3日以上切らすと全滅することがあります。このような事態を避けるには毎日水を補給しないといけませんが、給水器を使用すると数日間水を補給する必要がなくなり大変便利です。また、ヨーロッパイエコオロギは濡れるのが大嫌いです。コオロギに直接霧吹きすると弱り全滅することもあるので、霧吹きは絶対に行わないでください。
自動給水器はタッパーなどで自作することも可能です。タッパーの蓋に小さな穴をあけてキッチンペーパーや脱脂綿などを通すだけなので簡単です。キッチンペーパーや脱脂綿などに吸わせた水分をゴキブリに与えるという仕組みです。
エサ
コオロギは雑食性なので、ドッグフード・キャットフード・熱帯魚飼料・野菜・果物など何でもよく食べます。コオロギをペットとして飼育するのであればこれらの中から嗜好性の良いものを選んで与えますが、コオロギを飼育動物の餌として与える場合はコオロギの餌も慎重に選びましょう。餌からコオロギの体内に取り込まれた成分の一部は、そのまま飼育動物の体内に入り健康を害する原因になることもあります。飼育動物の健康を第一に考えるのであれば「経済的、嗜好性が良い」などという安易な理由で餌を選ぶのはやめましょう。ガットローディングも兼ねて餌用コオロギに高栄養価の餌を与えると、それが飼育動物への栄養にも繋がるのでおすすめです。
産卵床
コオロギの繁殖に挑戦したい方は、追加で産卵床を用意しましょう。コオロギは成熟したオスとメスが一定数いて、適度に湿っている産卵管がさせる柔らかいところがあればどこにでも産卵し、温度と湿度の管理さえできていれば勝手に孵化し繁殖します。コオロギが産卵した後に産卵床を取り出して管理したり孵化したコオロギの幼虫を別の飼育容器で管理している人もいますが、そこまでしなくてもそれなりに繁殖します。
我が家では産卵床として浅いタッパーにバーミキュライトを敷いて、霧吹きで乾燥しないように適度に湿らせて使用しています。その他にもティッシュ・脱脂綿・スポンジなどを使用している人もいるようで、私もいろいろと試しましたが最終的にこれに落ち着きました。ただ、飼育容器内の湿度が上がりすぎないように注意が必要です。
まとめ
我が家では収納ケースの蓋を穴あけ加工して飼育容器として使用し、常時200~300匹程度のフタホシコオロギを管理しています。収納ケースを使用しているのでパネルヒーターなどの冬用保温器具は使用せず、室内温度が15℃を下回らないようにだけ注意しています。
爬虫類や両生類の餌として栄養価に優れ、入手し易く、扱い易いとあらゆる面でバランスの取れた万能餌であるコオロギですが、いざ管理するとなると「くさい・うるさい・すぐ死ぬ」と一般的に言われており結構繊細で管理に手間がかかります。飼育容器内が汚れていたり過密すぎてもすぐに死にますし、油断したら即全滅なのでこまめな管理が必要になってきます。そのため爬虫類飼育者はみんな口をそろえて「爬虫類を飼っているのか、コオロギを飼っているのかわからない」と言います。しかし、コツさえつかめば繁殖まで持っていくことも可能です。
ただ個人的には餌代を少しでも抑えるためになどといった理由で手間や時間をかけてコオロギを繁殖させるくらいなら、ペットである爬虫類・両生類を愛でてあげた方が良いんじゃないかなと思います。コオロギ繁殖ための手間と時間を考えると、定期的にショップで購入した方が無難でおすすめです。管理が楽で繁殖も比較的容易な生餌昆虫であれば、レッドローチやデュビアといった餌用ゴキブリの方がおすすめです。